第7章 タイ北部・労働
霞野仙人
この5月は、不思議な国のPC−VAN学校に裏口入学しましたので
タイ行きがかなわず、タイの愉快な仲間たちより、やんやのお叱りを受けています
PC−VAN学校というのが、ぐっちが歓迎挨拶担当をしていたパソ通スクールでした
タイ北部・湖畔の宿・労働
・ ・じゃあ、私の感謝の気持ちを100円上乗せして
日当600円にしましょう
時給75円相当ですが、・・
去年の夏、私が湖畔の宿の敷地の一画に池を造作した
ときの、一人あたりの労働契約とその対価です。
5人がかりで10日を要して完成しましたので
延べ50人を、わずか3万円で雇ったことになります。
わずか、というのは「円」の力が言わせる概念で
労働者は500円を要望していたのです。
今年の3月、湖畔の宿の女主人は、敷地と用水路で隔てる隣接地を
購入しました。面積が約8ライ(約3千坪・1ライ約380坪)の果樹
園で、老木となって実りが減少したので売りに出されていました。
女主人は、私が5月に予定していた訪タイ記念にと、高床式の小屋を
新しい土地に建立しました。水路に橋を架け、老木を除去し、数種類の
果樹の苗木を300本を植樹しました。この時の日当が500円です。
信じられますか??
去年と今年の日当が違うのは、タイの通過が暴落したからです。
タイは現在バブル崩壊の余震の中にあり、経済は混乱しています。
日本の円も80年代の勢いを失いつつあります。
(この5月は、不思議な国のPC−VAN学校に裏口入学しましたので
タイ行きがかなわず、タイの愉快な仲間たちより、やんやのお叱りを受
けています。)
パヤオ・湖畔の宿・女主人
女主人の家の敷地は千坪ほどあります。
敷地内には、十年ほど前に建てた両親の住む小さな平屋と、私が「パヤオ
・ 湖畔の宿」にした女主人の家があります。付属家屋として炊事室、車庫な
どが別棟で配置されています。高床式のしなびた小屋(米穀貯蔵庫)だけが、
わずかにタイの様式を残しています。
敷地には手入れのない大小の木々が雑然と茂り、草が群がり、庭の隅はやぶ
のようです。
しかし、何一つ不要なものがないのです。木々は様々な果実を実らせ、
日中は灼熱から生きるものを守る木陰を提供します。所かまわず生えている
一見、雑草に思える草はハーブ系の正しく野の菜です。やぶには青臭そうな
レモンが実をつけています。やぶから抜きんでた葉っぱからはバナナが垂れ
ています。
・・といって、決して裕福なのではありません。
女主人の名はヴァキャオといい、ハスの花を意味します。
日常はピーメイ(愛称・メイ姉さん)と呼ばれてはいますが、
当年29才、一児の母親です。
メイには壮大な計画があります。果樹園を一万坪にしたいのです。一族の
誰かが日本行きを夢見ても、諦めてくれるように、皆が力を合わせて収入を
得られるようにと、せっせと励んでいます。
やたらと号令を発したがり、一族の統制を取りたがるのは目的達成に燃え
ているからでしょうか。
一族の糧となる田は既に確保し、果樹園も来年には満願成就とか。
その気丈夫な女が、夜、寝室にこもると
・ ・お父さんのところで一緒に生活したい、早く迎えに来て・・と電話で
泣きだします。
目覚めた3才の女児が受話器を取り上げて・・
・ ・パパ、パパ。今日風船を飛ばしたよ。見たか。受け取ったか・・と
意味不明のことを寝ぼけながらも、流暢になったタイ語ではしゃぎます。
女児の名前はエミ。足の裏から頭の先まで、私と相似形です。
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まことに、どうも、申し遅れました。
パヤオ湖畔の、宿の母子は、実は・・
(女主人兼通訳者の日本語には、実際は助詞がありません。念のため)