手にあった夢が手によって壊れる
毎日、凄い速さで生きてきた手
どこかで間違ったかのような
充分に満足な、悲しいおつりのない未来
指と指の狭間に
だめおしのナイフを突きたてては
笑った君
もう、いいじゃないかな、と笑った君
いきることの いきるいみは、もう、いいじゃないか
ひとつき
ふたつき
母を切り刻んでは、賽の河原の石ひろい
妻を切り刻んでは、賽の河原の石ひろい
子を切り刻んでは、賽の河原の石ひろい
手は手を刻む

その頃のぐっちは心の自由を精神の放蕩と錯覚し
また自ら いつも
断崖の淵に
立っていないと
いい小説が
書けない
と信じていた

危なかっしい
ナイフ遊びをする日常で
通常の家族生活とは
切り離しているつもりだったが
妻には、それがとても理解できなかったのは当然だった